最近Netflixで「ミートイーター」というハンティング番組を観ているのだがこれがなかなかおもしろい。毎回メインキャストがゲストともにハンティングに赴いて仕留めた獲物を食するドキュメンタリー番組で、自然界に対する人間のあり方の語らいも哲学的でおすすめだ。

まずは景色の開けた場所から見回して、時折鳴き声を真似る笛を吹く。獲物を見つけると風向きに注意しながら接近し、心臓に狙いを定めて引き金を引くーーーこれら実際のハンティングの現場で行われている行動をシミュレーションできるのがtheHunter:Call of the Wildだ。

番組を観ながら「あ、これゲームと同じことしてるなぁ」と思ったのが記事を書くきっかけになった。もちろん現実のハンティングがあってこそなのだが。ちなみにゲームの方では獲物を食する要素は無いので先に述べておく。

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リアルな自然環境はスクショ好きにもおすすめ。もちろんハンティングにはエイム技術も必要だ。

さて、はっきり言ってこれはニッチな作品だ。しかしそれでも120時間以上もハマってしまったのだから魅力は十分に持っている秀作でもある。なかなかハマっている人を見ないので、それをお伝えして誰かの琴線に触れることができれば幸いだ。

この作品の定価は2,050円(※2018/10/28時点)。それを踏まえた上で魅力を聞いてほしい。魅力は大きく3つある。


まず1つ目は雄大な自然環境の再現だ。当然ながら舞台は森や丘陵、平原、湿地など自然界で行われる。没入感を生み出し「そこに居る感」がなければシュミレートできているとは言えないだろう。では「そこに居る感」をどのように生み出しているか。

もちろんその大部分はグラフィックである。緻密に作り上げられたグラフィックはスクショ好きをも唸らせる。それも単に緻密であるだけでなく雨が降れば泥道ができたり草木にも艶が生まれたり、時間経過と天候変化による様変わりを描ききっているのだ。

スクショ好きにとっても嬉しい要素がある。ゲーム内でカメラに持ち替えて撮影するとそのままスクショとして保存されるのだがこの場合はUI非表示で保存されるのでゲームっぽくない写真を収めることができる。しかもカメラモードではグリッド線が表れるので3分割法による撮影が容易にできる点も非常にポイントが高い。いろいろゲームをやってきたがこんなにありがたいスクショ機能があるのはこれが初めてだろう。

また、本作は音響にも驚かされる。風や動物の鳴き声も右から左、あるいは前から後ろへ響き渡るように聞こえるのだ。これは実際に体験してもらうのが一番良いだろう。サウンドカードを搭載しているPCならばぜひ味わってほしいものだ。

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ホントは何枚もスクショを貼りたいのだが見づらくなるので泣く泣く厳選しました。


続いて2つ目の魅力だ。今度は動物に焦点を当てていこう。

本作は獲物を狩ることで経験値を得てスキルツリーを開放する成長要素がある。足音の減少や見つかりにくくなるスキルは特に重要だ。

高い経験値を得るため3つの要素がある。それは「即死させること」「適切な弾丸で1発で仕留めること」「狩猟を積み重ねること」。つまりキツネを狩るためにクマ用の弾丸を適当に撃ち込んでも高い経験値は得ることができないのだ。品位に欠けると言っていいだろう。

たかがゲームと侮るなかれ、本作の動物はしっかりと骨や内臓が構成されている。即死させるためには心臓や脳、背骨や首の骨などを狙わなくてはならない。慣れるまでは的が大きい肺を狙うのがおすすめだ。心臓に当たらなくても側面から左右の肺を撃ち抜けば即死させられるだろう。経験を積んで自分が最も狙いやすいポイントを見定めるのがこのゲームの面白みでもある。

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倒れた動物に近づいてリザルト画面を見ることで初めて狩りが完了したことになる。内蔵の位置をよく覚えておこう。


では最後に3つ目の魅力、このゲームが「余暇ゲー」であることだ。「余暇ゲー」というのは俺が勝手に考えたジャンルではあるが、何が言いたいかと言うと「かける時間と成果が必ずしも比例しない」ということだ。

コーデックスを見れば動物の出現エリアはわかるがそれは必ずしも遭遇を保証するものではない。出遭えるかどうかは少なからず運要素がつきまとう。動物は音や匂いに敏感だしこちらの姿に気づくと100m先でもあっという間に逃げてしまう。

戦場FPSに比べると移動も遅いし銃の取り回しも悪くデザインされている。言い換えれば1発の弾丸が非常に重いのだ。命中させたとしても即死させられなければ獲物は逃げ続ける。弾丸が内蔵に到達していなければ倒れるまでかなりの時間を要するだろう。ちなみにDLCのバギーバイクはファストトラベル地点の構築のために買っておいたほうが良い、400円程度なのでおすすめだ。

だから1匹の獲物を狩るにも数十分の時間を要することは少なくない。ともすれば数十分かけても何の成果も得られないこともあるかもしれない。その点でこの作品は地に足ついた余暇的な作品なのだ。

しかしながら出現しやすいエリアや時間帯、笛や香水といったアイテム、風向きなどにも気を配ることで動物を引き寄せることもできる。運要素が絡むとは言えど、その可能性を上げることはできるのでにわかに運ゲーとは言えないのだ。

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拠点はファストトラベル地点にもなる。コーデックスで獲物の習性、適切な弾丸を確認して装備を整えよう。

この作品は劇的なストーリー展開もなければ激しい戦渦を駆け抜けるアクション性もない。ハンティングをするだけのクラシックな作品である。トリガーハッピーな人にはたぶん物足りなさしかないと思う。それは理解できるし趣味嗜好の違いだから仕方がない。

しかしリアルに再現された雄大な景色や風の音といった、ハイキングに出かけたような空気感を味わえるのはこの作品ならではの特徴だ。そこを楽しめるかどうかが評価の分かれ目でもある。自然を味わいながら一人でもまったりとマイペースに楽しめる人がこの作品にどっぷりとハマることができるだろう。