PCゲームを身近な人と共有する環境を考える『ゲームはリビングで。』この連載は「共有」というテーマを軸に、PCゲーマーとゲームをしないような人がゲームの体験を共有するためにはどうすれば良いか、"PCゲーマーのライフスタイル"を考える。

第2回はリビングでもSteamゲームができる「Steamリンク」を考える。まずはSteamリンクとは何か、結論から言えば、Steamリンクはネットワークを介した画面のミラーリングなのだ。

第1回目はこちら→【デスクトップPCが生むパーソナルスペース


設定や詳しい仕様に関してはこちら(実際どうなの「Steam Link」と「Steam コントローラー」)のサイトでズバッと解説してるのでおすすめ。この記事ではSteamリンクがライフスタイルにどう影響したかを考えていく。

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ネットワークに接続すればPCを自動で検出してくれるので面倒な設定は必要なし

「Steamゲーはあらゆるジャンルが楽しめて表現に富んでいるのにどうして世の人は誰もやっていないんだ…!」

そう感じたのは今に始まったことではないが、自分がもっぱらのsteamerだと自負し始めたのはここ数年のこと。影響力のない自分がどうにかSteamゲーを広める方法はないものかと模索し始めたときに目についたのがSteamリンクだった。顔の知らない誰かよりも一緒にお酒を酌み交わすような顔の知れた人のほうが広げやすいかもしれない、と考えていたのだ。

値段については国内正規品でも5,000~8,000円と通常時でも価格幅がある。さらには年末のセール時には1,000円以下と恐ろしく安くなることがあるので、安く買いたいのであればしっかり時期を待ったほうが良いだろう。セール情報を集める方法はいくつかあるがTwitterでSteamを専門に扱ってる「プロスチーマー」などがおすすめ。個人的には5,000円以下で買うことができれば御の字といったところだ。

しかしながら「Steamリンクの事実上の生産終了」という非常に残念なニュースが最近飛び込んできたのでもやは見つけ次第値段など気にせず買うのがいいと思う。供給量が減ればあとは値上がりする一方だ。(『ストリーミングハードウェア「Steam Link」は生産終了へ。国内向けストアからも姿を消す』AUTOMATONより)

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イラストの説明なので一目瞭然。最近のデバイスはどんな言語圏でも通じるガイドが増えてる気がする。

買った時にまず驚いたのが説明書。わずが見開き3ページに接続方法を示していて、あとは画面を見ながら設定をするだけになっている。ゲーム欲を全く減退させないありがたい薄さなのだ。USBポートは3つあるのでマウス、キーボード、コントローラーをそれぞれワイヤレスタイプを使用すれば開放的なリビングでもいつもと同様に自分スタイルでPCゲームを楽しむことができる。

一つ注意すべき点としては無線LANは避けたほうがいいだろう。映像の明確な遅延でプレイどころではなくなってしまうかもしれない。この点は公式が有線を推奨しているのであらかじめ有線環境を整えておいたほうがベターだ。

さて、実際にSteamリンクを買ったことでゲーミングライフは変わっただろうか?友人を招いてみた感想を書いていこう。

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本体はなんとポケットティッシュと同じくらいの大きさ。黒いボティはどんな部屋にも合うデザインだ。

実際に友人を前にSteamのライブラリを漁るが当然そこにあるのは俺好みの作品たち。その中から友人にとって魅力的に見えそうな作品で「おもてなし」をしなければならない。

俺の思い描いていた理想的なイメージでは、友達が自らコントローラーを我先に取りに行くワクワク感があったのだが実際には遠慮がちなことが多かった。考えてみればPCゲーに馴染みがないのだから当然だし、俺の好きな作品はAAA級タイトルではないのがほとんどだった。

それでも大人な友人たちは「人がゲームしてるのを見るのも楽しいから」と言ってくれるので、理想とのギャップに寂しさを覚えつつ色んなジャンルのゲームを同じ空間で楽しんでもらった。

意外にも好評だったのは【theHunter: Call of the Wild】だった。馴染みがない人にとってゲームは敵を倒したり成長したりするものだと思っている人が多く、リアル志向のシミュレーターのような作品は意表を突いたものらしい。グラフィックも緻密でニッチなゲームデザインのいかにもPCゲーらしい作品が受け入れられたのは良い手応えだった。
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誰もが楽しめるゲームとはどんな作品だろうか?

ゲームはもちろん自分が楽しめる作品を選ぶべきだが、Steamリンクをリビングに置いてみて分かったことは「時として他人目線でゲームを選ぶこと」。今後は誰もがとっかかりやすいゲームを模索していこうと思う。ゲームの体験を生み出すのは作品そのものであり、Steamリンクとはあくまでもパーソナルスペースを抜け出す「架け橋」なのだ。

リビングでゲームはできるようになったが他人を思いやることができなければデスクトップPCというパーソナルな空間をリビングに持ち込んでいるに過ぎない。自己中心的な振る舞いが良い共感を生み、持続することはありえない。価値観を押し付けず、相手の立場になること。これこそが「おもてなし」であり「共有」の源なのだと改めて気付かされたのだった。